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尿管閉塞

犬と猫の尿管閉塞は、さまざまな原因で起こります。

  • 尿管結石
  • 膀胱三角部の腫瘍
  • 尿管の線維化
  • 尿管の発生異常 などのうち、最も一般的なのが尿管結石による尿管閉塞です。

尿管閉塞を起こしてしまうと、腎臓には大きな負担がかかります。24時間以内に腎臓には半分以下しか血液が行かなくなり、数週間ほど経過すると腎機能もどんどん失われていってしまうと言われています1)。同時に両側の尿管閉塞を起こすと、まったく尿が排泄できなくなり命にかかわるため早急に対処が必要です。

猫の尿管閉塞で最も多いのは尿管結石です。
尿管結石による尿管閉塞は、手術をしない内科治療のみでは改善するケースの方が少ないと言われています1)

尿管結石のうちシュウ酸カルシウム結石が98%を占めています。しかもこのシュウ酸カルシウム結石は、食事療法などでは溶けません。さらに、平均4個という複数個の尿管結石により閉塞をきたすことが報告されています1)。そのため従来の方法、つまりわずか1ミリの太さの尿管を切開、結石を取り出して縫い閉じるという手術では、何カ所も行わねばならず身体への負担(侵襲)が大きいことがときに問題となっていました。また、手術した部分の尿管から尿が漏れてきてしまったり、尿管自体が断裂してしまう合併症や、再閉塞のリスクもあります。

近年、ヒトでも広く用いられている尿管ステントを用いた方法が、動物でも可能となりました。そして尿管ステントは従来の手術に比べ、合併症率や死亡率が低いという報告がなされてきました1)。膀胱に内視鏡を入れて尿管にステントを設置する方法や、水腎症(水風船のように尿がたまってしまった腎臓)の腎盂(腎臓と尿管の境目、尿が出て行くところ)に皮膚の上から針を刺してそこからステントを設置する方法、開腹手術で腎臓側または膀胱側からステントを設置する方法などがあります。 当院では猫の尿管ステントは基本的に開腹手術で設置する方法をとっています。

当院での経験もふまえた尿管ステントの利点はいくつかあります。例えば手術した部分の尿管からの尿の漏れや再閉塞のリスクがより低い点。また、腫瘍による尿管閉塞でも、比較的負担が少なく尿が出るのを補助してあげられる点などです。尿が出ないことで生じていた苦痛などを軽減し、QOL(生活の質)を改善できると考えられます。
※尿道閉塞の場合は、尿管ステントの適応とは異なります。


動画でレントゲンと同じ画を見る為の「透視装置(Cアーム)」

使用する尿管ステントの一例

使用するガイドワイヤーの一例

膨らんだ腎盂に造影剤を入れて閉塞・尿管の拡張を確認しているところ

設置後の尿管ステントの様子(レントゲン像)

SUB system

犬と猫において、尿管閉塞に対して新しい手術方法も有用性が報告されています2)。もともとの尿管の中にステントを入れるのが先ほどの尿管ステントです。それとは異なり、腎臓と膀胱を別のルートでつなぐ新しい道を確保する方法です。「SUB system」と呼ばれるものを使用します。

SUB system

SUB systemの利点は複数あります。まず、尿管自体を操作せずに、別のルートを確保するので、尿管断裂や手術した部分の尿管からの尿の漏れのリスクを回避出来ます。また、それぞれのカテーテルが尿管ステントよりも太く再閉塞のリスクがより低いと考えられます。その他、途中のポートから砂状の結石などを洗い出すこともできます。今後適応例は増加してくると考えられます。

SUB system
設置後の尿管ステントとSUB systemの様子(レントゲン像)
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参考文献

1) Allyson C., et al., Technical and clinical outcomes of ureteral stenting in cats with benign ureteral obstruction: 69 cases (2006-2010), J Am Vet med Assoc. 2014

2) Berent A., et al., The use of a subcutaneous ureteral bypass device for ureteral obstructions in dogs and cats. Abstruct, European College of Veterinary Internal Medicine, 2011


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