診療案内・科目

フィラリア症

どんな病気?

フィラリア症は犬糸状虫(Dirofilaria immitis)が肺動脈、または右心室に寄生し、様々な症状を起こす病気です。蚊の吸血によって、ミクロフィラリアという幼虫が感染し、体内で徐々に成長しながら、約100日間皮下組織と血管外膜の間を移動し、感染後3~3.5ヶ月で血管内に侵入、5~6ヶ月で肺動脈へと移行します。成虫の寄生数、感染期間、感染した動物の反応によって異なりますが、寄生した犬糸状虫による肺への障害もしくは心臓の弁膜への障害により、犬では咳、疲れやすい、チアノーゼ、失神、血尿、腹水など、猫では、咳、吐き気、突然の呼吸困難、突然死などの症状を呈します。猫での感染率は地域により異なりますが、通常は同じ地域の犬の感染率の10~20%といわれており、感染率は非常に低いですが、感染した際に現れる症状が重症であることが多いです。

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診断

犬糸状虫症感染は、一般的に犬では、血液中のミクロフィラリア検査、成虫抗原検査により診断が行われます。感染が疑わしい場合はX線検査、心エコー図検査を行うことにより、肺および心血管系への影響を評価します。猫での診断は抗原・抗体検査、X線検査、心エコー図検査を評価することによって総合的に評価する必要があります。

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なりやすい品種

品種に関係なく、犬および猫において認められます。
しかし、最近ではフィラリア感染に対する優れた予防薬、およびフィラリア症への飼い主様の知識の普及により予防率が向上したため、感染のリスクは減少しつつあります。しかし、残念ながら現在でも予防率は100%ではないため、蚊の多い地域ではまだまだ発生が認められています。

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治療

犬糸状虫症に感染しても安全に駆虫が出来る薬物があるという噂が一部で流れていますが、犬糸状虫の駆虫に使用される薬物は決して安全性が高いものではありません。現在、アメリカ犬糸状虫協会(American Heart Warm Society)で推奨されている比較的安全な駆虫プロトコールにより治療されることが多くなりましたが、そのプロトコール中にも使用されている駆虫薬であるメラルソミンはヒ素剤であり、決して安全な薬物ではなく、投与後は絶対的な運動制限が必要であるだけでなく、副作用として、呼吸促迫、呼吸困難、下痢、嘔吐、ふるえ、失神、流涎などが起こる可能性があり、最悪の場合、死に至ることもあります。そのため、現段階でのベストな治療方法は、感染を防ぐための定期的な予防薬の投与であると言えます。

超音波画像:右心室内、肺動脈内に認められるフィラリア虫体(=マークのように見える)
超音波画像:右心室内、肺動脈内に認められるフィラリア虫体(=マークのように見える)
1頭の犬より手術により吊り出されたフィラリア虫体
1頭の犬より手術により吊り出されたフィラリア虫体
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循環器科担当 高智 正輝


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